ヨーロッパ40日の旅 9  スペインーバルセロナ Part2





前回に続いて、9月17日 後半の様子です。

カサ・バトリョから北へ向かい、サン・パウ病院へ行きました。
1902年に着工されたドメネク・モンタネール最後の作品です。48棟の建物が14万5000㎡の敷地に並んでいます。





病棟にはムデハル様式が用いられています。様々な彫刻やタイル、ステンドグラスで装飾された病院です。




病院をこれほど見事な芸術作品にしてしまうモンタネールの造形力に感動しました。人間に生きる上での希望を与えてくれる場所だと思います。「芸術には人を癒す力がある」と信じた彼の姿に、人間としての魅力、スケールの大きさを感じました。




サン・パウ病院からは、あの聖堂が見えています。




再びサグラダ・ファミリアへ向かいました。異様な存在感が迫ってきます。




何回見ても発見があり、飽きさせません。繰り返し見続けることで、ようやく全体像がつかめてきました。これほどすごいものが、今、自分が生きている時代にリアルタイムで造られていることに心を揺さぶられます。





ゴシック地区を訪れました。
ガウディ建築をはじめモデルニスモの建築が居並ぶアルシャンプラ地区、新市街とは趣が異なり、バルセロナの伝統的な建築やモニュメントが見られます。


王の広場。
正面にはバルセロナ伯爵の住居として使われていた王宮があります。




人々のリアルな生活がありました。




起源はローマ時代。バルセロナの中でも、ここだけは時間の流れが異なる、というより時間が止まっているようにさえ感じられました。






カテドラル。
13〜15世紀に建てられカタルーニャ・ゴシック様式の聖堂です。




スペインの教会は基調色が濃く、鮮やかなステンドグラスやライティングが特徴です。







モンセラットの黒いマリア像。







グエル公園。
エウセビオ・グエルの依頼で1900年〜1914年にかけて建設されたガウディの代表作です。この広大な公園は、もともとは60戸の住宅が並ぶ庭園都市として計画されていました。しかし、資金面等の問題で工事が中断され、公園として生まれ変わることになりました。




入り口近くには、破砕したタイルで覆われた待ち合い館と門番小屋があります。




トカゲのような姿をしたドラゴン。




中央広場を下から支えるドーリス式列柱です。実はこの柱には、雨水を濾過する機能も備わっています。






建設が予定されていた60戸の住宅の内 完成したのは2戸で、その内の一つはガウディが住居にしていました。現在はガウディ博物館として公開されています。




内部は意外とシンプルな構造で、落ち着きのある空間でした。





中央広場。
グエル公園のシンボルです。




自然と調和した世界は居心地がよく、心を豊かにしてくれます。




タイルの破片でできたモザイクがふんだんにちりばめられています。ガウディは、当時すでにリサイクルの精神を持っていました。




ミロも影響を受けたというモザイクのベンチは、バルセロナ市民の憩いの場として親しまれています。





グエル公園でタイルの1部をうれしそうに写真に収め 去っていく夫婦がいました。おそらくこの破損したタイルの一つひとつにも様々な物語や歴史があるのでしょう。





9月18日。
モンセラートYHからセンターランブラスYHへ移動しました。

サン・ジュセップ市場。
バルセロナ市民自慢の大きな市場です。様々な生鮮食料品が揃っています。子豚が皮を剥かれた状態で出ていたり、わけの分からない食材や果物ばかりです。






見たこともない食品の数々。




ピカソ美術館。
9歳の時から青の時代までの作品がメインに展示されています。ピカソが15、16歳に描いた超絶技巧の作品群は特に見応えがありました。若い頃のピカソがこれ程多く 徹底して写実を行なっていた点はたいへん興味深いことです。僕は、歴史上の画家の中では、ベラスケス、レオナルド・ダヴィンチ、ダリ、フェルメールらが最高峰の技術を持っていたと考えています。でも仮に、ピカソが子どものような奔放な絵を求めず、絵画技術を追求し続けていったとしたら、ベラスケスらを上回る腕を習得していたかもしれない、と感じられる美術館でした。




サンタ・マリア・ダル・マル教会。
14世紀のカタルーニャ・ゴシックの教会です。




かつては海と陸の境界であった場所です。スペイン独特の暗い空間にステンドグラスが映えています。




町中にあるピカソの壁画。




不思議な音の楽器を演奏する人。




9月19日。
ミロ美術館。
モンジュイックの丘の上にあるジョアン・ミロの美術館です。設計はホセ・ルイス・セルトです。20世紀のスペインでは、ピカソ、ミロ、ダリと3人の天才画家が生まれています。




コレクションはかなり充実しています。幻覚から生まれたものとは思えない軽快な作品が並びます。





純粋に色と形で楽しませてくれる絵画ばかりでした。




彫刻。




ピカソとミロには2つの共通点が見えました。一つは、言語化する間もなく鑑賞者の感覚に響いてくる造形力。もう一つは、2人が歳をとるにつれて、作品がどんどん開放的に自由になっていくことです。絵画に普遍性を追い求める行為が、このような結果を生んだのだと考えられます。






巨大なタペストリーもあります。




屋上。





カタルーニャ美術館。
中世のキリスト教美術の殿堂です。注目は、カタルーニャ地方で発展したロマネスク芸術です。








全能のキリスト。
タウイのサン・クリメン聖堂の力強い壁画です。




夕方、スペイン広場からサンツ経由で最後にもう一度サグラダ・ファミリアへ。
夕日が射した光景は美しく、時間が異なると全く異なる印象を受けました。3度目の訪問ですが、時間が許す限り いつまででも居たくなる程 魅了されました。




音楽が始まり、自ずと踊り出すバルセロナのじいちゃんたち。




夜は伝説的なカフェ・バー「クワトロ・ガット(四匹の猫)」を訪れました。ここは、無名時代のピカソや多くの芸術家たちの卵が集っていたカフェ・バーであり、20世紀芸術の原点を象徴する場所です。




バルセロナは、混沌とした街の中に魅力的な芸術が満ち溢れています。希望や感動を与えてくれる本当にすばらしいところでした。また必ず行きたい場所です。



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