2014年5月20日火曜日

率直な感想 後編 @エイリアン博物館






率直な感想、後編です。



<後編 お客さんとの質疑応答の様子/本展の特異な点/自分の率直な感想>

開催中の「エイリアン博物館」は、来場者の多くがいわゆる美術の玄人とは異なる一般の方々です。
そこでまずは、老若男女さまざまな来場者のみなさんから会場で直接受けた作品への質問やその回答、感想、反応の様子などを書きます。
※【 】内はお客さんとのやり取りで感じたことなど・・







お客さんA(20代女性) 「宇宙人 つのぴー可愛いですね!つのぴーの頭の赤い▲の印は何か意味があるんですか?」

石山(以下、石) 「つのぴーは基本的に自分のツノを長く伸ばしたいと思っていて、赤い▲は"ツノが長く伸びるおまじない"です。」

お客さんA 「えー?でもエイリアンはみんな体を変化(メタモルフォーズ)できるんですよね?ツノは伸ばせないんですか?」

 「ツノだけは伸ばせないんです。彼らにとってツノは心臓のようなもの。」

お客さんA 「赤い▲じゃなくて↑が付いてるつのぴーは?」

 「もっと長くツノを伸ばしたがっているつのぴーです。さらに、彼らには色々と好みがあって、ツノをまっすぐ伸ばしたいつのぴーとカーブを描きながら伸ばしたいつのぴーがいます。」

お客さんA (爆笑)

お客さんA 「エイリアンはどうやって増えるんですか?子どもを産むんですか?性別はありますか?」

 「性別はないです。地球で言う"想像妊娠"みたいなものです。イメージすると本当に生まれるという。」

お客さんA 「それはすごくエイリアンぽいですね!染色体がどうとかじゃなく、地球の常識とは全くちがっていて、つのぴーにピッタリ。」

お客さんA 「しゃべるつのぴーもいますよね?」

 「みんなしゃべります。」

お客さんA 「みんなしゃべるんですか!あとちょっとひねくれ者もいたり、好みがあったり、エイリアンだけど意外と人間臭いですね!細かくキャラクターが設定されているから想像がどんどん膨らむし、世界観が完成されているのでどんどん引き込まれます。」

 「一つ作るとそこからまた新しい発想が生まれて、妄想の連鎖で次々にイメージが出てきます。」

お客さんA 「漫画の物語も続きが気になって、またこの先が読みたい!」







お客さんB(20代男性) 「つのぴーってみんな凄い年齢ですね。宇宙より長いなんて・・。」

 「つのぴーたちエイリアンはこの宇宙の外側から来た存在です。」

お客さんB 「あーそっちの説(多元宇宙論)を採用してるんですね。エイリアンの墓標(キューブ)は何の物質でできてるんですか?」

 「地球上には存在しない物質です。イメージは光のように実体がなく、触れることができない物質。」

お客さんB 「墓標の大きさは色々あるんですか?つのぴーたちも色々な体のサイズがいるので。」

 「そうです。それぞれの体の大きさに合わせたキューブに埋葬されます。」

お客さんB 「こっち(画像右)は結晶ですね!これって勝手にキューブの形になるようになってて、穴とか欠けてる部分があると自然と形を補い四角くなるようになってるんですよね。これとエイリアンの墓標が同じ形になってるとは。」

 「偶然ネットで見つけました。」

お客さんB 「え?ネット?何でもありですね! このCGみたいな絵(画像下)のキューブは描いてる時もやっぱり楽しいものなのですか?」

 「いや、かなり面倒くさいです。最高に興奮するのは、アイデアが閃いた瞬間と完成した時だけです。最初はすべて線で描きますが、その状態で画面を見ているとこれを仕上げるのか、とゾッとする時があります。」

お客さんB 「さっきから"ネット"とか"面倒くさい"とかアーティストからそのような言葉が聞けるとはかなり意外で面白いですね!画家が何を考えて描いているのか、ふだん自分たちには想像もつかない部分ですからね。」







ゆーほーん2号/がんがん1号/つのたろう7号


お客さんC(小学生) 「"ゆーほーん"が欲しい。"がんがん"も欲しい。ガンプラを使ってる!欲しい!」

お客さんD(C君のお母さん) 「私はこのつのぴーが好き。」

お客さんC 「これ"つのたろう"だよ!ツノが2つ付いてる。この("がんがん"の中の)"つのぴー"の後ろにいるのは、つのぴー41号のペット?」

 「そうだよ。」

お客さんD 「つのたろうの"たろう"は岡本太郎の"たろう"ですか?」

 「ウルトラマンタロウの"たろう"です。」

お客さんC 「エイリアンは何か食べる?」

 「食事はしないです。彼らは"油絵具"がエネルギー源で、自分の体の中から絵具をつくり出して絵を描きます。」

お客さんC 「このキノコも絵具だ!あっちのプラットホームにもある!」


【 子どもはすぐにエイリアンのキャラクターを細かく暗記して、漫画も読んで世界観を理解しのめり込んでいく姿がとても印象的です。つのぴーの何号がどこにいるのかすぐに発見したり、作品の意味を真剣に考えたりする姿を見ていると、子どもの観察眼の鋭さと固定観念のない思考の純粋さは、時に大人のそれをはるかに凌ぐのかもしれないと感じずにいられません。質問も矢継ぎ早に飛んでくるし、とにかくテンポが速い。】






【 上の画像は「Alien Vision 9:Earth Boy:千年スーツ」という作品で、人間の子どもが現代を生き抜くために千年の寿命を得ることができる宇宙柄のスーツを着て立っている、という作品です。
会期中に来てくれた小学生たちがこの作品を見て、「千年か・・千年も生きるのは嫌だな。」と話していたり、また別の子は「自分は千年間生きてみたい。」と話していたりしたそうです。
今までこの作品を見た大人の方の反応は、「子どもなのになぜこんな険しい表情をしているの?」「どうして子どもらしい可愛い表情じゃないのか?」という意見が多かったのですが、子どもの感じ方はまた違うみたいです。

この作品は「現代のこの世界を千年生き抜く」という使命を帯びた少年の像です。小学校の子どもたちがこの少年「アースボーイ」自身と同じ目線でこの像を見つめて神妙な様子で言葉を発していた、ということに驚いたし、また非常に嬉しく思いました。】






お客さんE(20代女性) 「つのぴーのブログ見てます。赤い手袋をしたつのぴー11号が好きです。今回は展示されてますか?」

 「展示してます。探してみてください。」

(そしてEさんが発見・・)お客さんE 「片方だけ手袋をはめるファッションがつのぴーの間で流行ってるんですよね!めっちゃかわいい。あとつのぴー7号も好きです。」

 「7号は、全身が金と銀の色だけで彩色されたゴージャスなファッションです。10号とか、20号とかゼロナンバーのつのぴーはみんな7号のファッションに憧れているので、金銀2色だけのファッションを真似しています。」

お客さんE 「ファッションリーダーですね。憧れたり真似したり、宇宙人も意外と人間臭いところが面白い。双子もいたり、関係性がかなり複雑ですよね。」






お客さんF(50代男性) 「漫画を読んだけど、地球誕生から現代まで一気に物語が展開していて、その間ずっとエイリアンたちは地球を観察し続けていて、エイリアンたちの体感速度は人間とは全然違うのでしょうか?」

 「人間とは違いますね。地球の歴史は46億年ですが、何十億年という時間をごく短い時間で凝縮して体感することもできれば、人間と同じくらいゆっくりと時間を体感することも可能です。彼らは体感速度を自在に調節できます。」

お客さんF 「なるほど。移動速度は?」

 「光より遥かに速いです。例えばこの"つのぴー40号"は金星に住んでますが、時々地球に来て海水浴をしています。地球と金星は似ている部分が多い惑星ですが、彼にとって地球より高温な金星はサウナ、地球は水風呂、という感覚なんです。」

お客さんF 「人間とはスケールが違う。宇宙が家なんですね!」






【 一般のお客さんは次々に作品について質問をされる方がたくさんいます。そしてどれも短いセンテンスでシンプル、具体的な質問が多いのが特徴です。

ふだん東京などで展覧会をしていると、来場者の多くは美術関係者になるので、今回一般の方から飛び出てきたような具体的な質問は意外と少ないものです。みなさん専門家なので、質問にしても感想にしても「ヘタなことは言いたくない。」「何か深いことを言わなくては、」という心理が働くのか、案外 抽象的なことを言われることが多いです。
(ちなみに、僕のいた美大では講評会の時に一人ずつみんなの前で作品を批評されるのですが、先生達が互いに牽制しあってなかなか誰も言葉を発さない無言の時間がまずある、というのが日常でした。異様な光景ですが、玄人としてのプライドや美術の知識、理屈などによって感性や発言にブレーキがかけられてしまう部分もあるのかもしれません。)
抽象的な言葉のやり取りは、一時的に高尚な対話をしている気分になったとしても、話題の核心が曖昧なために結局そこからは何も生まれてこない、ということがよくあります。


今回出会った一般のお客さんや、玄人であっても率直に質問や感想をぶつけてきてくださる方たちとのやり取りの方が、作家としては得るものがずっと大きい、ということを実感しています。
シンプルで具体的な質問には、回答も具体的なものが求められるのでごまかしがききません。自分が想定していなかった思いがけない所を突いた質問もたくさん受けました。作品の生みの親である自分の口から出る回答がすべての公式設定になるので、緊張感があります。今回、次々に飛び出てくるそうした質問に対して一つひとつ考え、答える、(時にはお客さんと一緒に考えたり)という対話を続ける中で、"Alien Vision"の世界観の構築や様々な設定がより細かく、深く、濃密なものになってきている点が非常にスリリングで面白いのです。】








お客さんG(70代女性) 「こんな展覧会は初めて見ました。ふだん志摩でこういうアートは見られないから、展覧会をしてくれて本当に良かった。私は素人だから美術のことはわからないけど、見ていて本当に感動しました。」「やっぱりふだんは東京で作品を発表されることが多いのだと思いますが、数年に1回でもいいからまたぜひここでやってほしいです。」






お客さんH(母と娘の親子で来てくれたお二人) 「完成されたエイリアンの世界に入り込んでしまう。夢に出てきそうです。」「漫画を読んだり、作者の説明を聞いたりするとより世界観がわかり、すごい引き込まれていく。浩達君の中にはこのエイリアンたちがいる。」「本人も宇宙人かもしれない。」






お客さんI (40代男性) 「つのぴーのブログ全部読んでます。僕も3体つのぴーを持っているので、漫画やブログにいろんなつのぴーが出てきて、作品の世界に自分も参加しているような気持ちになります。」 
ブログ「宇宙人 つのぴー」http://ameblo.jp/tsunopie/






そして、こんな素敵な贈り物を持ってきた下さった方がいます!消しゴム版画作家、大平佳子さん作 "つのぴー89号"のハンコです。展覧会を見にきてくださったある方が大平さんに依頼して作られた作品で、消しゴムでできています。さりげないラインの一つひとつが美しくもあり、ユーモラスでもあり、その絶妙な感じがとても気に入っています。宇宙人つのぴーが少しずつ一人歩きを始めたような不思議な感覚です。
http://www.yoshikogummi.com/


「リミックスがうまいと思います。過去に別の場所で見た作品でも、展覧会毎に違って見えて、何度見ても見飽きることがない。」というお話をされていたのが特に印象深いです。

いつも作品を楽しみに展覧会を継続して見に来てくださる方々の反応を知ることは、次の作品の展開をつくる上でも非常に重要なことだと思っています。






お客さんJ(20代男性) 「自分は"光"じゃないな。日々の色々なものに流されている"脱力系"だと思う。」
アップで描かれ"光"を放っている子どもの絵画「Lightning」と、俯瞰した視点から小さく横たわる姿で描かれた"脱力系"の大人たちの絵画「紫の星」。その関係性をすぐに理解した彼は、「"脱力系"の大人をアップで描いた作品が見てみたい。」と言っていました。
【 今まで専門家からもなかったその鋭い視点と提案に痺れました。これは今後作品化せずにはいられません。】






お客さんK(60代男性) 「俺は宇宙人と会ったことがあるんだけど、今日は畑仕事をしてる時にたまたま新聞記事で展覧会のことを知って、"これは見ないと!"と飛んできた。こりゃあ面白い!すごい!」

 「宇宙人の外見はどんな感じでしたか?」

お客さんK 「人間と変わらないよ。畑で会っていろいろ聞いたんだけど。」

 「会話は成り立つんですか?」

お客さんK 「成り立つ。彼(宇宙人)は東京に住んでて、新幹線でこっちに来てるらしい。ジャガイモが好きでポテトチップスをよく食べてる。」

 「ジャガイモが主食ですか。」

お客さんK 「そう。これ表面がいいね!何で作ってる?」

 「チェーンソーとカッターで削ったスタイロフォームにFRP(プラスチック)を貼って車の塗装をしています。」

お客さんK 「この色は?」

 「トヨタのホワイトパールです。いろいろな駐車場で片っ端から車を見て、どのホワイトパールがいいか決めました。その上から油絵具で色をつけています。」

お客さんK 「あなたはこういうものを作っちゃう人だし、間違いなくこの先宇宙人と出会うだろうね!」

【 「畑からそのまま展覧会に来た。」とご本人が言うように、泥だらけの長靴とつなぎ姿で現れ、目を輝かせて作品を見るその姿がうれしかったです。】




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まだまだ書ききれないほど濃密なやり取りがあるのですが、このくらいにしておきます。


また、会場の歴史民俗資料館の方々がブログ「宇宙人 つのぴー」をもとに、「つのぴーを探そう!」というクイズを率先して行われている点や、作品一つひとつの意味やキャラクターの設定、ストーリーなどを熟知され、お客さんに説明している様子も印象的です。

展覧会の並走者の人たちが、「自分の作品を細かく正確に理解し、それをお客さんに伝えるためにできる限りの工夫を凝らす。」という姿は、作家にとってとても幸せなことだと思います。
業界のプロ顔負け(?)の熱意あるその姿勢に僕もパワーをいただいています。




都会でもなく、ホワイトキューブでもないこの不思議な資料館の空間で、様々な「面白いこと」が起きています。



 




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